石原東京都知事再選に絡んだ経済効果シナリオ

浜口です。今回は注目記事として、パンローリングHP「渡辺幹夫のエトセトラ」コーナーに4月23日付で掲載されている記事を抜粋し、紹介します。皆さんのご参考になれば。
このたび石原都知事が再選を果たしたが、氏の公約の中には株式市場にとってポジティブなもの(東京オリンピック誘致)がある。今回はこの公約が株式市場与えるインパクトについて考えてみたい。

1.東京オリンピック誘致

 『SPA』(扶桑社)2006年4日24日号の「 [2016東京オリンピック計画]7つの大問題」という特集記事が目を引いた。この記事の冒頭部分には、次のように書かれている。

「他候補に大差をつけて3戦を果たした石原知事。これで公約だった東京オリンピックの招致活動に弾みがつくのは間違いない。だが、本当に大丈夫か?臨海部は液状化対策の不備が指摘されているし、五輪名目の大開発にも疑問の声が上がっている。そこで、2016東京オリンピック計画にまつわる7つの大問題を検証する。」

 もともとは五輪を口実に都の負の遺産を国の税金を使って整理しようとする石原知事の強引さと税金の無駄遣いを強調しようとする趣旨の特集だが、投資家としては、この記事をそう受け取るだけでは足りないだろう。「五輪にからんだ公共投資・経済効果」という点から見ると、株式市場にポジティブインパクトをもたらすものであることがわかってくる。それは、この記事の見出し部分「カネのかからない五輪どころか、総額8兆円規模の大規模開発が始まる?」からもうかがえる。

 同特集では、この総額8兆円規模の大規模開発の内訳についても記載されているので、以下に引用する。

オリンピック関連開発の投資計画

首都高中央環状品川線 4,000億円
首都高中央環状新宿線 2,500億円
圏央道 3,900億円
外郭環状道路 1兆3500億円
「外環の2」地上部街路 6,000億円
3環状道路の関連道路 700億円
高速道路「多摩・新宿線」 2兆2,000億円
羽田ー築地間トンネル道路 1兆円
環状2号線など臨海部の広域道路 7,245億円
会場アクセス用地下鉄などの整備 2,450億円
主要3施設建設 5,000億円
主要3施設の用地買取 7,000億円
競技施設の建設 900億円
メイン会場付近の運河埋め立てなど 220億円

  総額 8兆5,415億円

 同特集においてジャーナリストの須田信一郎氏は、次のようにコメントしている。
 「臨海副都心は95年以降、塩漬け状態となっています。そこで石原知事は当初、カジノ構想をぶち上げたんですが、頓挫した。しかし五輪に立候補すれば、少なくともIOC総会で開催地が決定する09年までの2年間は国の金を使って都の整備ができます。道路整備だって東京の渋滞解消というよりも、五輪のためといったほうが実施しやすい。ほかのインフラ整備や、羽田空港の拡幅・国際空港化といった都が抱える課題も、五輪を言い訳に進めることができるんです」「そうしたインフラ整備は普通、20年から30年かけてやるものですが、五輪というゴール=期限が区切られていれば一気に進められます」
 またジャーナリストの上杉隆氏によれば、「08年の北京五輪の次の次にまたアジアで開催する可能性は相当低いと思います。それよりも、この2年間で国のカネを使って、できるだけ臨海開発やインフラ整備をすることが狙いです」とのことである。両者とも、五輪誘致に成功するしないにかかわらず、2009年にかけて一定額の大規模開発が実施されると予測している点で共通している。

3.筆者の見解
1. 実施については不透明な部分が多いが、オリンピックについては、建設・不動産を中心とした内需セクターに一定のポジティブインパクトを与える材料と認識する。2003年以降の景気循環の「黄金サイクル」(特に建設投資循環)の強化に寄与する材料と考える。
2. 東京オリンピック関連開発の投資計画の内容からは、道路株に対しポジティブインパクトが大きいように思える。
 東京では、マンダリンオリエンタル、リッツカールトン、ペニンシュラといった超高級ホテルが建設されている。1964年の東京オリンピックの際に、ホテルニューオータニ、ホテルオークラ等が建造された状況と符合的であるというのは、筆者の考えすぎだろうか?

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