浜口です。最近、会社四季報と日経会社情報、浜口さんはどちらを見てますか?ということをよく尋ねられます。本件についてここで回答することにします。
私は以前は日経会社情報を中心に見ていましたが、現在は会社四季報を中心に見ています。
日経会社情報にあって会社四季報にない情報の最たるものは、持ち株比率の比較ですね。たとえば日経会社情報最新号の三菱重工の筆頭株主を見ると、以下のように記載されてます。
ステート・ストリート 23903 (7.1)5.4
()内の7.1は足元の持ち株比率で、5.4は六ヶ月前の持ち株比率を示しています。ステート・ストリートは米系の資産管理信託銀行ですから、この銀行が預かっている顧客の誰かがここ六ヶ月で三菱重工株を買い増ししているということが推定できるわけです。ではその顧客はだれかというと、株主判明調査を実施しなければ具体的にはわからないわけですが、以前は漠然と推定できたんですね。
というのは、現在は信託銀行名義の株は、いわゆる資産管理系の信託銀行が預かる形になったので、たとえば日本トラスティ信託銀行の保有が増えていれば、背後にある三井アセット信託、住友信託、りそな信託のどこが増やしたのかがわかりません。しかし以前は、このケースでは三井アセット信託、住友信託、りそな信託という名義が具体的に出ていたので、漠然と推定できたわけです。
以下はあくまでたとえでありフィクションですが、ある銘柄の株価が大幅下落して、新しい日経会社情報に三井アセット信託 13903 (7.1)5.4なんてでた場合には、「ああ、三井アセット信託はここ半年の高いところでこの銘柄の組み入れ比率を高めたんだな。これはかなりシコッタな(注:評価損になることを、なぜかこういう言い方をします)」などと想像するわけです。
以上は一例ですが、もう少しサイズが小さい銘柄の場合、継続して買っている筋がいるかいないのかラフな判断に使えることもあり、意外にこのデータが重宝するわけです。機関投資家のファンドマネージャーは、このような見方をしてる人が結構多いんじゃないかと思います。
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