浜口です。Nabe59様、セミナーを評価していただき、ありがとうございます。一点だけコメントいたします。
>新興系やIT系の株の見方、PERの評価について、明快で、ファンドマネージャーの方々の考え方が、
>一般とはかなりことなることも知ることができました。セミナーでなければ聞けない話だったと思います。
ご指摘の話は、年金系アクティブ・ファンドマネージャーの話と受け止めてください(ヘッジファンド・投信等の中小型株ファンドマネージャーの場合は、事情が異なるかもしれません)。
年金系マネージャーは、新興市場銘柄については、そもそもそれほど期待していないですし(そんなに簡単に成長できたら苦労しない、開示も含め怪しい会社が少なくない、そもそもなんで歴史のある時価総額上位銘柄と新興市場銘柄とを同列で扱うことが出来るのか?とのスタンス)、また流動性が低いので、投資対象になる銘柄はきわめて限定的です。
一方で、特にIT系の見方については、これは当方独自の考え方と受け止めてください。つまりファンドマネージャーの多くは、現在はともかく、以前はIT系に期待していた人がかなり多かったものです。
同じような運用哲学・相場観ではライバルに差をつけることは出来ないため、私はこれまで、意識して他のファンドマネージャーと異なる、非凡な運用を心がけてきました。IT中心の運用がコンセンサスなら、じゃあ私はオールドエコノミー中心、そして本当にこれで良いかなと自問自答・・・こんな具合にね。常にこういったことを意識してきました。
ファンドの運用は、TOPIXとの戦いであるとともに、他のファンドマネージャーとの戦いでもあります。特に年金運用の場合、その色は濃くなります。ファンドマネージャーは生き残るため、パフォーマンスの面でライバルに差をつける必要があります。一例ですが、ある年金基金が5つの運用機関(信託銀行、投資顧問会社など)に運用委託している場合、年次パフォーマンスが第五位の会社はシェアを削られるかキャンセルとなり、トップの会社がそのかなりを持っていくケースが多いのです。
このような運用の中では、成功しに行くことよりも、失敗を最小限に留める(最下位にならない)運用が重要なケースも多いのです。私はIT系は事業の競争が激しいのに参入障壁が低く、何かあればすぐ株価が暴落するという思いが従来から人一倍強く、大きなミスを犯さないためにも、組み入れには常に消極的ですね。現在もこの考えは変わりませんが。
個人の運用の場合でも、勝ちに行くのも大事ですが、いかに大負けしないか、生き残るかは、さらに重要ですよね。
生き残ってさえいれば、相場に留まってさえいれば、大儲けのチャンスはいつかやってくるものです。
Speak Your Mind