10月2日の日経金融の「スクランブル」に、株式市場に新たな買い手―郵政、2兆円の行方に期待という記事がありましたので、ご紹介します。先般当コーナーで当方、「9月23日に日経によれば、郵貯・簡保が売り切り、民営化後は買い越しに転じるということですから、(これまでの売却の事実よりも)そちらのほうの期待が個人的には大きいと思っています。能天気過ぎますか?」とコメントしましたが、なんかそれをフォローしてくれているよう(笑)。
内容は、郵貯・簡保はこれまで、日本株の売却を続けてきたが、民営化で一転、市場では新たな買い手として期待が高まっているとのこと。以下に、市場関係者4人のコメントを転載させていただきます。
1. 大和総研の壁谷洋和氏:「民営郵政の計画と比較すると、八月末時点では株式を圧縮しすぎた感がある」。民営化後の事業内容などを定めた「日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画」では、民営化時の金銭の信託の残高はゆうちょ銀が二兆三千五百六十億円、かんぽ生命が六兆三千九百七十億円としていた。八月末との差額がすべて国内株に向かうとしたら、最大で郵貯と簡保を合計して約二兆円の買い余力がある計算だ。
2. 野村証券の藤田貴一ストラテジスト:「民営化後はメガバンクや大手生保の運用内容も意識するだろう」。というのも連結総資産に占める国内外株式の比率はメガバンクの平均が約四%、大手生保が約二三%に達するからだ。ゆうちょ銀とかんぽ生命が大手金融機関並みに株式運用比率を引き上げるなら、単純計算で数十兆円株式を積み増さなくてはならない。
3. クレディ・スイス証券の市川真一チーフストラテジスト:「郵貯、簡保とも運用資産が国債に偏っており、将来のインフレリスクを回避するためにも株式運用を増やす可能性がある」。
4. 三菱UFJ証券の藤戸則弘投資情報部長:「公的年金と同じような運用スタンスに出るのではないか」とみる。積極的に上値は追わないが、株価水準が下がれば買いに回る姿勢。
まあ以上の記事自体は、郵貯・簡保が買うと考えている人たちのコメントだけを載せたものであり、「おそらく買わないと思う」という意見は、仮にあったとしてもネグられていると考えるのが妥当なのでしょう。その部分は割り引いて考える必要はあるのでしょうが、民営化後の郵貯簡保の趨勢を考える上では、少なくとも一応の参考にはなると思います。
私?能天気ですから(笑)、記事に書いてある通りと素直に受け止めてますけどね。ゆうちょ銀行・かんぽ生命は図体が巨大なだけに、市場に対するインパクトは少なくないと思いますよ。
それにしても、今までの長きに渡る郵貯・簡保の酷い売り越しは、あまり話題になりませんでしたよね。売買当事者の信託銀行において、相当な緘口令が敷かれていたことは、容易に想像できますね。
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