浜口です。当コーナー常連の(笑)山師さんから、またまた以下の質問をいただきました。コメントします。
「戦前にまで遡って、設備投資循環と建設投資循環を調べられる方法は無いのでしょうか?
もし、あれば、自分で調べてみたいのですが。」
面白そうな取り組みですが、結論から言えば、以下の2点から、本件の調査は難しいと考えてます。
第一に、戦前には、景気循環といえるほどのものは存在してなかったんじゃないかと思うからです。景気循環というのは、ある程度経済成長が達成された国において発生するものです。拙著にも書いてますが、たとえば日本においては、「いざなぎ景気」以前は、戦後の焼け野原から復興する過程であり、結果的にすべての経済指標は上向きに成りっぱなし、循環といえる類のものは存在しません。
では戦前はというと、経済だけから言えば、日本は現在の新興国のような状況だったのではないでしょうか?
明治・大正の日本は、よく言えば平成のBRICKs??あるいはVISTA??はたまたインドネシアといったイメージではないかと。好況・不況は繰り返しても、日清・日露・日中戦争を分岐点とするもので、循環といえるもほどのものはなかったのではないかと推測します。
第二に、そもそも調べようとしても、当時は設備投資・建設投資といった経済指標を計測し公表していなかったのではないでしょうか?政府にもそういう考え方はあまるなかったのではないでしょうか?特に日本では、経済の学問も、それほど成熟していなかったでしょうし・・・かの高橋是清は、優秀なケインジアンだったという話はありますが・・
これがかの大英帝国、イギリスのようなかつての「先進国」であれば、1800年代、産業革命前後を含め、景気循環の分析は可能かもしれないのでしょうが。
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