2003年、銀行株集中投資の思い出

浜口です。恐縮ですが、今回は自分の古き良き思い出をご披露したいと。

私は2001年以降、日本株を買いから入る株式投資を再開、低位バリュー株中心の投資を実施していたのですが、2003年にポジションの積み増しを行う中、かなりの部分を低位バリュー株から銀行株に乗り換える投資行動を行いました。これはこれまでの生涯の中で、最も成果が上がった投資行動です。そして銀行株が大きな戻りを示現した2004年以降、割安感がある低位バリュー株にあらためて乗り換えた・・・・そんな経緯があります。今回もこの戦略でうまくいくのではないかと、現状考えているわけです。

当時、当方がどのような考え方から、銀行株投資に踏み切ったのか?ご参考になればと思い、2003年8月ごろ、銀行株ボトムアウト後に当方が某メディアに寄稿した文章を以下に掲示します。

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現状、銀行株の株価が、常軌を逸して割安な水準にあると考える。大手銀行は、業績水準が低いわけでは決してない。象徴的な例は、みずほフィナンシャルグループである。日銀の金融緩和の結果といえばそれまでだが、同社の2002年3月期業務純益(通常の企業の営業利益に相当)は、1兆円を超えるレベルにある。ちなみに他の国内企業で同期の営業利益が1兆円を超えているのは、NTTドコモ、トヨタの2社のみである。如何に凄いことか、良くわかる。
 しかしながら驚くべきことに、2003年5月30日現在の同社の株価は69,500円、他の「公的資金注入大手銀行株」の株価は、UFJが113,000円、三井住友が198,000円などといった悲惨さである。旧50円額面で計算し直せば、それぞれ70円、113円、198円である。フローの利益ベースで日本最大級を誇る企業の株価が、倒産株価に近い水準で評価されているという異常事態ともいうべき状況だ。この背景には、不良債権や保有株式の評価損等の増加に伴う自己資本の毀損問題があった。いずれの銀行株、中でもみずほ、UFJの株価には、株主責任リスク(株券が紙切れになるリスク)が反映されていたことは明らかだ。

 しかし、りそなグループへ公的資金注入の際、既存株券が紙切れにならない「前例」が出来あがった。2003年5月17日、金融庁はりそなHDおよび子会社であるりそな銀行に対し業務改善命令を発令、同社は5月30日に1兆9,600億円の公的資金の申請を行なった。ここでポイントになるのは、これまでの拓銀、長銀、日債銀のケースとは異なり、りそなグループへの公的資金注入が実施された際、既存の株主責任が問われなかった点である。この結果は政府の政策転換に伴うものであり、今後の大手銀行の破綻は事前の公的資金注入により未然に防止され、かつ株主責任は不問で株主価値はそのまま保全されるということが認識された。

前述の通り、業務純益ベースで1兆円近い収益を得ていた企業が「倒産株価」にまで売り込まれていた状況。しかし不良債権等に伴う株主責任リスクが回避されるのが事実であれば、これは買われて当然だと考えるが、いかがか?

もうひとつ、足元の相場上昇を受け、機関投資家が銀行株を買わざるを得なくなった状況が発生した。バブル崩壊以降、多くの機関投資家ファンドマネージャーは銀行株を大幅アンダーウエイトにし続けたが、その投資スタンスは多くの場合、有利にはたらいた。しかし今回の「意図せざる」銀行株の大幅上昇により、機関投資家の多くは銀行株を買い増ししなければ運用成績がベンチマークであるTOPIXに大幅に負けてしまう状況が発生した。少なくともベンチマークと同等程度の銀行株をファンドにおいて保有するための買い需要が発生したことが、銀行株上昇の「触媒」になった。ファンダメンタルズの好転に根ざした相場上昇ということであれば、顧客に対する説明責任という側面からも、機関投資家としては「買わざるを得ない」状況に陥ってしまうものである。

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