「せざるを得ない」という行動基準

浜口です。年金運用の世界では、「せざるを得ない」という考え方が、投資行動に大きな影響することが結構多くあるという話。

相当前の例ですが、1999年のITバブルのとき、ソフトバンクが暴騰。当時この銘柄の時価総額は、確か第5位にまで跳ね上がった。ソニーの時価総額を抜いたと、話題になったものです。この時に「せざるを得ない」という投資行動が、端的に発生した。

年金運用のベンチマークはTOPIX。そしてTOPIXは、時価総額の大きな銘柄の値動きに大きく影響を受ける。以上からソフトバンクを持っていないと、運用成績がTOPIXに大きく負けてしまう恐れがある、つまりTOPIXのパフォーマンスにキャッチアップするためだけに、しかたなくソフトバンクをTOPIXの構成ウエイト程度組みいれを行った運用担当者も少なくなかったわけです。ただしその後、ITバブルの崩壊でソフトバンクは暴落、「保有せざるを得ない」状況どころか、一転、この銘柄をもっていないことが美徳になった。

なんでこんなことを今、説明するのか???当時のソフトバンクと、ここもとのWTIが似たような状況かもしれないと思ったもので。

WTIについては、投機資金に加え、年金ファンドも結構買っているという話(米国年金なんでしょうね)。なぜか???年金ファンドに、ここで説明した「保有せざるを得ない」事情が発生したことによる可能性も・・・「上昇が続いているのに、なんで原油先物を組み入れていなかったんだ?」との批判を避けるために・・・

ここまで読んでいただくと、もうわかりますよね。現状、年金ファンドについてはもはや、WTIを「保有せざるを得ない」状況ではなくなりつつある。順張りなんでしょう。というより後追いチックな投資スタンスというべきか。

今後WTIの需給面がどうなるか。もしも新高値を抜きそうになれば、また年金投資が復活するのかもしれないが・・・以上、憶測の話が含まれますが、ご参考まで。

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