浜口です。今回はファンダメンタルズの話。
ある人から、長期的な為替相場の決定要因は何なのかと尋ねられました。株価の場合はフローの側面たる収益やストックの側面たる資産価値により評価されるのだろうが、為替はどうにも良くわからないというんですね。本件に関する当方の考えは、以下の通り。
1.1990年代中頃以前は、貿易黒字・赤字に代表される貿易要因が、為替レートの主たる決定要因としてウエイトが大きかったのでしょう。一例ですが黒字の円が買われ、赤字のドルが売られる。
2.しかし現在はそうではない。それ以降の長期的な為替レートの主たる決定要因は、グローバルな資本移動要因。経済・市場のグローバル化により、投資資金が国境を越えてより有利な運用先 (相対的な高金利国、あるいは株が上がりそうな国) へと移動する。現状ではこの投資資金の額が、フローの貿易代金の何十倍ととてつもない額にまで膨れあがっており、この資金移動が、長期的な為替レートの主たる決定要因になっている。
3.金利=経済成長率+リスクプレミアム(フィッシャー方程式)のとおり、特に先進国内においては、経済成長率と金利は正比例の関係にある。つまり経済成長率の高い国の金利は高水準となりやすい比例関係が存在する。このことは長期的には、経済成長率が高く、結果として高金利である国の通貨に高利回りを期待した投資資金が流れ、通貨が高くなる傾向が存在していることを意味する(そのような国は、株も高くなる傾向がある)。
ここ半年ぐらいは概ね、ユーロや高金利通貨国>日本>ドルという関係になってますよね。アメリカの景気回復ピッチが鈍くドルの金利上昇が遅れそうなので、先進国主要通貨では円に対し、ドルだけ安いわけですね。まあ足元では少し、ドルは盛り返してますが。
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